高校2年理数探究 色素増感太陽電池の製作の授業レポート
12月19日(月)1・2時間目に、化学室にて、色素増感太陽電池の製作をしました。色素増感太陽電池は、太陽電池の一種で、家庭用のシリコン太陽電池と比較すると起電効果は劣るものの、製造コストは低く、学校教育で扱うことできる電池です。対象の2年6組は、文化発表会でサイエンスフェスを催したり、総合的な探究の時間ではエネルギー問題について取り組んだりしてきました。授業では、これまでに生物基礎で光合成を学び、化学の授業では電池の構造を学びました。また、これから物理の授業で原子レベルのエネルギーを学びます。今回は、2年生の集大成として、太陽光パネルをグループで作成し、オルゴールを鳴らすことを目標に学習を行いました。
まず、電気伝導ガラスに酸化チタンペーストを薄く均一に塗り、その後加熱をします。はじめは弱火で2分、その後強火で10分、最後に弱火で2分間焼き付けました。
はじめ2分間の加熱時にポリエチレングリコールや水が蒸発して煙が上がり始めると生徒たちの集中力が一層高まりました。※安全な状況での実験を行っております。
その後、40℃に熱したハイビスカスティに加熱したガラスを静かに入れ、色素のアントシアニンを15分かけて吸着させて負極の完成です。
続いて、正極を作成します。
もう一枚の電気伝導ガラスにろうそくのすすを付け、その上にろ紙を敷き、さらにヨウ素液を滴下させます。これで、正極の完成です。
最後に、正極と負極を合体させて、色素増感太陽電池の完成です。
一人1セルの太陽光パネルを作り、グループで4セル直列接続させました。マルチメータで確認すると、太陽光に当てたときに1.5Vの電圧が生じています。オルゴールを接続すると音が鳴りはじめて感動の声が上がります。最終的にはすべてのグループで太陽電池を制作でき、エネルギーについての理解を深めました。この後、生徒たちはこの実験内容も含めて、探究活動の成果をレポートにまとめていきます。
また、今回の授業では、実験の合間に、化学の教諭からボルタ電池の実験の演示を受けて、化学電池の復習をしたり、生物の及川教諭より食物連鎖の仕組みと光合成時のおきる電子の移動の仕組みの復習を受けました。科目を横断しながら、日頃の学びを実生活への利用に連想していくことで、エネルギーがさらに身近なものとなったはずです。3学期は、他クラスでも同様の実験を行う予定です。
最後に、今回の授業は東京理科大学川村康文教授の研究室にご指導いただくとともに、本校の実験助手が1年間かけて薬品等の調整を行ってようやく実現した研究授業になります。さらに、担任にはHRの総合的な探究の時間を理数探究とコラボレーションしてもらいました。協力をしてくださったすべての皆さんありがとうございました。
生徒の皆さんは、これまで太陽光パネルを見たり使ったりはしたことがあったかと思います。ですが、今回のように実際に太陽光パネルを作成したことがある人は少ないことでしょう。エネルギーは我々にとって非常に大きな課題です。この授業をきっかけにこれから様々な科学を学びながら、皆さんが大人になった時に、どのエネルギーをどのように使うかを選択できるようになってほしいと強く願います。
生徒の感想①
6組は探究活動で色素増感太陽電池を作る実験をしました。
色素増感太陽電池は化学、生物、物理の三つの知識を使い、理屈は少し複雑なものでした。4人1組でロウソク係、ガスバーナー係、実験写真係、講義記録係と役割分担をし、初めは失敗してしまうかもしれない、と少し緊張していました。私の担当したガスバーナー係は実験の中で弱火2分、強火10分、弱火2分と温度を変えなければならず、上手く温度を変えられないと班員の実験が失敗してしまうという重要な仕事でした。とても不安でしたが、金曜日に先生が1時間みっちりガスバーナーの使い方を教えてくれて自信を持つことが出来ました。そのおかげで実験中も正確に温度を変えて無事に実験は成功。自分たちで作った色素増感太陽電池でオルゴールを鳴らすことが出来ました。
実験自体はとても楽しかったです!
私たちは理系クラスなので、私を含めほとんどの人が実験が大好きだと思います。ですが私たちは高校に入ってからコロナの影響と授業が終わらないこともあって実験をほとんどできずにいました。ですので実験ができて嬉しかったですし、先生がやり方を詳しく教えてくれて、ほとんどの人が成功できていました。実験中は、無闇にものに触れたり危険な行動をする人もおらず、みんなで大好きな化学、生物、物理を楽しみながら将来の地球環境を考えたクリーンなエネルギーを作ることが出来て本当にためになりました。
みんなでひとつの事を成し遂げる素晴らしさ、成功した時の喜びを感じ、馴染みのあるヨウ素液、ろ紙、ロウソクの煤、ハイビスカスティーなどが多いのに、それを組みあわせるとエネルギーになるということに驚きました。貴重な体験をありがとうございました。
生徒の感想②
今回の実験はSDGsに示されているエネルギー問題に関連した実験で、色素増感太陽電池というものを作成をした。これは俗に言う太陽電池のことで、小学生や中学生のときにも、これが次世代のクリーンなエネルギーの一つであるということは学んでいた。しかし今回はその太陽電池の作成ということで、一体どんなものなのかと実験前から興味はあった。また、ただ作るだけではなくそのメカニズムを調べるということで、ただ実験で終わるのではないところが大変貴重な経験になったと思う。実際の実験では物理の先生が作り方について授業をしてくれて非常にわかりやすかった。自分が何をしているのかを理解できるように、その作業について一つずつ説明してくれた点が特によく、戸惑うことがなく理解の助けになった。その他にも科学や生物にも関連付けて授業してくれたため色々得るものもあり良い時間を過ごせた。太陽電池の作成では、実験前に少しでも間違えたら全く動かないと聞いて、成功するのか心配だったが、その電池を使ってオルゴールを動かしてみるとしっかりと音が聞こえて、単純に感動した。実験後はしっかりと太陽電池のメカニズムを理解すると同時に、この実験がエネルギー問題に関心をよせ理解を深めるきっかけになれば良いと思う。
生徒の感想③
今日の1限2限で実験を行った。
内容は太陽光電池を作るというもので初めてやった。始めの方は全く想像できなくて、分からなかったが、実験を行っていくとともに、理解ができた。自分が思っていた太陽光電池の作りはもっと時間がかかり面倒だと思っていたが、やってみると意外と簡単で楽しく実験ができた。科学の技術などを使いこなせると色々なものが作れることに感動した。これを機にもっと色々なことを学んでたくさんの実験をやりたい!
生徒の感想④
今日は、色素増感太陽電池を作りました。
最初は負極の作成から入りました。酸化チタンペーストをムラができないようにガラス棒を使って伸ばしました。この作業が1番楽しかったです♪(スポンジケーキにクリームを塗ってる感じで) 次に、ガスバーナーで弱火 2分、強火10分、弱火 2分で熱しました。金曜日に、ガスバーナー特訓をしたのですが、1人だけ出来なかったのでどうなるかと思いましたが、本番では他の8グループと同じくらい出来るようになっていたのでホッとしました。実験助手の方も「100点だよ。」と褒めて下さって、とても嬉しかったです。今回の実験でガスバーナーの使い方をマスター出来て、一石二鳥をした気分です。(1つはガスバーナー、もう1つは電池の作り方)
次はハイビスカスティーに熱した負極を入れる作業をしたのですが、これが本当に難しかったです。何が難しかったかというと2つあります。1つはピンセットで負極のガラスを掴むことです。ピンセットで端っこを掴むことができなかったので、ピンセットを広げて掴みました。もう1つは、ハイビスカスティーに入れるという作業です。ゆっくり入れないと白い部分が剥がれてしまい、ボロボロに崩れるとのことでしたので、慎重に入れたのですが、ピンセットが取れなくて、多少乱暴になったせいか少し崩れてしまいました。
こんな感じで負極を作りました。正極は、すすをつける作業で、簡単且つ早く終わりました。
次に負極と正極を組み合わせたのですが、これが1番苦戦しました。ちょっとずらしただけで、負極の白い部分がバラバラになってしまい、グループの中で1番汚い電池が出来ました。
最後は、グループの人の電池を繋げてオルゴールが鳴るかドキドキしながら作業しました。見事に成功し、太陽があまり当たらなくても大きな音が鳴って嬉しかったです。他のグループとも繋げてみたら更に大きい音が鳴りました。この電池は、低コスト、低エネルギーで生産出来るので、今の時代にうってつけだと思いました。
今回の実験では、ガスバーナーの使い方をマスター出来たこと、クラスの人との団結力が深まったこと、誰も怪我することなく実験を成功できたことが良かった点だったと思います。またこのクラスで実験をして、更に絆を深めていきたいです。